成人式

成人式の夜。1月15日。
高校時代の友人と飲みに行く。
居酒屋で飲んでるとあとからそいつの友人が合流してきて紹介された。
心臓止まるかと思うくらい驚いた。
彼は顔も、体格も、僕と瓜二つだったからだ。
来月から西川口でキャバクラの店長代理になるという。
彼もあまりにもそっくりなことに驚いたようだった。
酒を飲む中、性格までも似ていることがわかり僕らはすっかり意気投合した。

まったく似つかぬ人生。
少年院に入っていたという。
中学卒業後、すぐ大工見習いになり、働き先の先輩と口論したあげく
パンチャーで足を打ち抜いたそうだ。
笑っていたが寂しそうだった。

ぬるま湯の人生。
ごく平凡に高校を出た後、僕は美術予備校に潜り込んで仲間と半同棲していた。
夢も逃げ道も、帰るところもあった。
夜はホストまがいのバイトをしていた僕は、バイト感覚のそのままに
夜の世界で生きていけるんじゃないかという甘っちょろいことまでも考えていた。

全く同じ顔の、性格も似ている人間の人生はもう一つの自分の人生だった気がした。
自分がたまたま通らなかった人生。

彼のその後は僕は知らない。
ただ、成人式だなんだとニュースが騒ぐ頃、決まって僕は彼の顔を思い出す。
鏡の中の僕を見ればきっと今の彼の顔なのだろう。
そのとき飲んだ高校時代の友人とも、ここ数年会っていない。

もう一人の俺。元気ですか?



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